過敏性腸症候群(IBS)は便秘や下痢、ガスなどの腹部の不快感と腹痛が日々繰り返される病気です。検査では異常が出ないことから、心理的なストレスが腸に影響を与えて引き起こされる「腸の知覚過敏」とも呼ばれます。生死にすぐ直結するものではありませんが、常にトイレの心配や排便、ガスが気になるという点で過度なストレスにさらされ続けるため、生活の質(QOL)が著しく低下する可能性があります。
次のチェックリストで1つ以上当てはまり、その状態が2ヶ月以上続いている場合は過敏性腸症候群の疑いがあるかもしれません。
※チェック項目は過敏性腸症候群を決定づけたり診断するものではありません。自分で安易に決めつけず、症状が気になる場合は専門医療機関を受診してください。
過敏性腸症候群は「下痢型」「便秘型」「交替型」「ガス型」に大別できます。
下痢が主な症状で腹痛を伴うときと伴わないときがあります。女性より男性、特に若い方に多い傾向で、ひどくなると「突然やってくる下痢(便意)」が心配で、通勤や通学、外出困難になってしまいます。
腹痛を伴う便秘です。便意はあるのにコロコロとしたウサギの糞状の便が少しでる程度で、女性に多いとされています。
交替型は下痢と便秘を交互に繰り返します。ストレスを強く感じると下痢になり、その後便秘、そしてまた下痢・・・と下痢と便秘を繰り返す排便パターンが特徴です。
ガスが腸内で溜まり、腹部の膨満感がつきまといます。オナラをしたら周囲に迷惑がかかるかも、と出せずにいることでガスとストレスを常に溜め込んでしまいます。
どの型も脳が強いストレスを感じ、その結果として腸にマイナスの影響と不快な症状を与えているとされています。
過敏性腸症候群の改善法は、腸の負担を減らしリラックスすることです。方法として、医療機関による薬物療法や心理療法のほか、自分でできる食事とリラクゼーション法があります。ここでは食事とリラクゼーション法についてご紹介します。
食事は刺激の強いもの(香辛料たっぷりのカレーやカフェインなど)や、冷たいもの、脂っこいもの(揚げ物、乳脂肪分たっぷりの洋菓子)、レモンやお酢などの酸味が強いもの、アルコール類を控えます。ストレス下にある腸は疲労度MAXです。刺激を避けるほか、負担を減らすために消化がよく温かい食べ物を適量(腹八分目)でよく噛むようにします。和食を中心に、野菜の煮物や味噌汁、お粥や雑炊、練り物を除いたおでんなどもいいでしょう。
リラクゼーション法は、ヨガやウォーキング、好きな音楽を聴く、アロマトリートメントを受ける、ゆっくり入浴する、瞑想するなど。おススメは腸もみ(腸マッサージ)です。腸もみは指を立てたりムリに押し込まず、深呼吸をしながら手のひら全体や指の腹で時計回りにやさしくゆっくり心地よい強さで押しもみます。食後すぐの時間帯を除けばいつでもできますし、お風呂の湯船で行えば温め効果と心身のリラックス度がアップします。
食事もリラクゼーション法も続けてこそ。ストレスを減らすためにやることですから「~~しなければならない」とならないよう、楽しく続けられ、生活の一部に自然と溶け込む距離感で実践しましょう。