綺麗のトリセツ

美容専門ハウツーサイト女子力UP!ウェブポータル

綺麗のトリセツ

掲載中のトリセツ記事数 1,860 記事

忙しい女性の味方になるか?卵子凍結の秘密

2016年6月24日更新 | 2,526 views | お気に入り 422

最近何かと話題に上る卵子凍結。皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?
今日は卵子凍結について考えてみたいと思います。

今回のメニュー

① 卵子凍結って?
② 卵子凍結の生い立ち
③ 現在の利用
④ 卵子凍結の費用
⑤ 問題点
⑥ まとめ

①卵子凍結って?

そもそも「卵子凍結」って何のことでしょう?
卵子凍結というのは字のごとく卵子を卵巣から取り出して凍らせて保存するというもの。経済的、肉体的な負担を考え、できれば一度にたくさんの卵子を採っておきたいという人が多いので、ホルモン剤を使用して卵子を沢山育ててから内診で卵巣に針を刺して卵子を採取します。
採った卵子は液体窒素に入れて冷凍保存します。保存しておいた卵子を使うときは、精子と受精させ、受精した卵を子宮に戻すという体外受精が必ず必要となります。学会や厚労省の基本的な考え方では採卵は40歳まで、戻すのは45歳までとなっています。

② 卵子凍結の生い立ち

そもそもの生い立ちは、小児の時に癌や病気で放射線治療や抗がん剤治療などを受けた場合に卵巣が駄目になってしまい、大人になった時に妊娠できなくなるという悲しい現実を何とか改善できないかと研究されたものです。
卵巣の組織自体をとっておく「卵巣凍結」が始まりでしたが、最近の不妊治療の技術の進歩で卵巣の中から卵子だけを取り出す「卵子凍結」ができるようになったのです。そして技術が知られるようになると、「女性は年齢を重ねるごとに卵子の数も減少し、質も落ちるため染色体異常などが多くなる」ということを懸念する人たちが若い時期の卵子をとっておこうという目的で利用するようになってきました。
現在でも若年癌や早発閉経(若くして閉経してしまうこと)などの医学的適応がないと卵子凍結を行っていない病院も多いです。

③ 現在の利用

最近ではアメリカのFacebook やApple社が、社員が卵子凍結する際の費用を補助するということで話題になりましたが日本では浦安市が補助金を出しています。現在のところ(2016年6月時点)4人が申請を出して承認されています。
戻した場合の妊娠率などの正確な成績もわかっていないこともあり、利用している人はまだ多くはありません。先日、医学的適応ではない方が凍結卵子で妊娠したとニュースになっていたので、ニュースになるくらいまだ珍しいということなのです。またある病院では卵子を採取しても実際使用した人がいなかったため卵子凍結を中止しました。

④ 卵子凍結の費用

実際費用はいくらくらいかかるのか、というお話ですが病院によっても大きく異なるのですが、卵子を採るところまでで大体30~50万円くらいのところが多いです。ただ、その後保管料というものが毎年かかります。こちらも卵子一個につき1~5万円/年でかかってきます。20個保管している人では毎年20万以上の費用が掛かります。先ほどお話しした浦安市ではかかる費用56万のうち、自己負担金は大体10万程度になるよう補助金が出るようです。
また使うときは必ず体外受精が必要となるので60~100万程度の費用が必要です。

⑤ 問題点

実はまだ凍結しておいた卵子を使用して妊娠する人が多くないので成績に関してはまだ詳しいことはわかっていません。解凍した後に卵子が生きている確率は40~70%と言われています。
また卵子解凍後、受精ができて、その受精卵が良好な場合の妊娠率は年齢によっても異なりますが15~35%と報告されています。
問題点は成績だけではなく、私たち多くの産婦人科医が危惧していることは妊娠の高齢化ということです。
ただでさえ、現在は妊娠の高齢化が進んでいるのに、さらに卵子をとってあるからという理由で結婚を急ぐ気持ちがなくなり、より高齢になってから妊娠を希望するという社会が懸念されます。
妊娠というのは妊娠したらおしまいではないのです。卵子は若くても、妊娠するときの身体は年相応です。
そうなると、妊娠の合併症が増加し、母体も赤ちゃんも命が危険になることが増えると予想されます。
また子供の親が高齢で、若くして介護の問題を抱えるという倫理・社会的に問題も、もう一度考えなければならない問題ではないかと思います。

⑥ まとめ

昨今話題の卵子凍結。使える技術ではあるけれど、まずは自分の人生設計、子供のことをよく考えて「とりあえず」ではなく、「本当に必要か」という視点で考えてみていただきたいなと思います。

尾西先生おすすめページ
→意外と知らない?女性なら知っておきたい!子宮のお話
→Let’s ブライダルチェック
→防ごう卵子の老化!予防レシピ
→産婦人科医が教える!不妊治療のABC

著者情報
本記事は、2016年6月24日公開時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。