吐き気には多くの種類と原因があります。吐き気がすると辛いので、できるだけ速やかに解消したいものです。また、吐き気によって考えられる病気を紹介し、対処方法についても見て行きましょう。
現在、吐き気がないという人も、知っておくと損はない情報ばかりですよ!
目次
吐き気が起こる原因はさまざまです。急な吐き気もあれば、吐き気が長く続くという場合もあります。私たちは「吐き気」とひとくくりにしますが、実際は細かく分けることができます。
まずは、吐き気が起こるメカニズムを説明しましょう。吐き気が起こるのは下記のようなパターンがあります。
①脳の嘔吐反射中枢が刺激される
②消化管のはたらきが乱れる
③乗り物(車、船、飛行機など)の揺れ
④その他(ホルモンの分泌に関すること、ストレスなど)
で起こるとされています。例えば①の場合は、何か気持ち悪くなるものを見たり、臭いで吐き気が起きることを指します。ストレスにより胃腸が荒れている場合に、迷走神経や嘔吐中枢が刺激されることがメカニズムとしてあります。
大まかな吐き気のメカニズムが分かったところで、吐き気の原因を細かく見て行くことにしましょう。
突然の吐き気と激しい腹痛の場合は、緊急を要することもあるので、すぐに病院へ行き診察してもらうようにしましょう。時間帯によりますが、夜間という場合は夜間外来を行っている病院へ行くことになります。あらかじめ、夜間外来に対応している病院を調べておくと安心です。
動けない、ひとりきりでどうにもできない場合は救急車を呼ぶという方法もあります。
下痢や便秘を伴う嘔吐に多いのはノロウイルスなどが原因となる食中毒です。11月~2月の冬場はこれらの病気が頻発します。1年中の食中毒の7割はこの時期に起こると言われています。
とても感染力が強いので、集団発生することが多いのが特徴です。特に、免疫力の低い子供やお年寄りは症状が悪化しやすいですし、保育園や幼稚園、福祉施設などの集団感染がニュースで取り上げられることもあります。
※こちらに詳しく食中毒の記事が掲載されていますので、参考にされてください!
食中毒の症状を見逃さないで!正しい知識で正しい対処を
大腸がんは食生活の欧米化により年々増えているがんのひとつです。将来的には胃がんに取って代わるのでは?とも言われています。下記のグラフは臓器別がん罹患数のグラフです。
グラフを見て分かるように、大腸がんはがん全体の中でも男女共に多いがんだと分かります。特に、女性のがんの中では多い傾向があります。40歳を超えると特に大腸がんの患者が増えると言われているので注意が必要です。
過敏性腸症候群については、症状そのものは吐き気と繰り返す下痢が症状として挙げられますが、その原因がストレスであることも多いので、後の項の「心因性の吐き気」の項で詳しく説明します。
くも膜下出血や脳腫瘍など吐き気と頭痛が起きる病気の特徴は、素人目で見ても軽い病気でないものが多いということでしょう。
尿毒症や中耳炎は吐き気と頭痛がありますが、頭の病気ではありません。これらの病気は症状が多く、例えば尿毒症の場合は倦怠感、食欲不振、下痢、けいれん、昏睡などあらゆる症状があり、その中に吐き気と頭痛も含まれます。症状から見ても、一刻を争うような症状ですから病院で診察してもらうようにしましょう。
吐き気だけでも十分に辛いのですが、それにめまいが加わることがあります。めまいには種類があり、自分が回っている感じがするものと周りが回っている感じがするものがあります。いずれのめまいも本人にとっては辛いものです。
吐き気とめまいが起こる病気の中で特に多いのはメニエール病です。特に朝にめまいのピークがあるという場合はこの病気の可能性が高いようです。
起立性低血圧症については、若い女性に特に多いようです。急に立ち上がったときに、血圧がいっきに下がることでめまいや吐き気などに襲われることがあります。あまりに症状が酷い場合は一度検査してもらうことも考えた方が良さそうです。
吐き気がする症状には女性特有または、女性に多い病気というものもあります。女性特有の吐き気にはどのような病気があるのでしょうか。
名前のとおり、卵巣がねじれてしまう病気のことです。卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)が引き金になって起こる病気です。強い下腹部痛が起き、卵巣が壊死してしまうこともあります。嘔吐、激しい腹痛、ときには発熱を伴うことがあります。卵巣嚢腫は90%は良性の腫瘍です。
卵巣嚢腫は、妊娠の際や、検診の際にたまたま見つかるということもあり、何の症状もないという人がいる一方で、痛みがある人は手術することもあります。患者は10代~70代まで幅広くいるので油断はできません。
「卵巣嚢腫がある」と言われたことがある人は卵巣茎捻転という病気があることを念頭に置いておきましょう。
妊娠したときにつわりの症状で吐き気がするということがあります。つわりの有無は個人差があり、軽い人もいれば重い人もいます。
つわりがどうして起こるのか?というのは、胎盤が未成熟のためにアレルギー反応を起こすから、急激な体の変化に自律神経が狂うため、母親を動かさないように流産を防ぐためなどあらゆることが言われています。
妊娠初期の頃はつわりがあると妊娠した実感があったという人もいますが、それが長く続くようになると体には負担になります。水さえも飲むことができない、日常生活が送れない、3日ほど何も食べることができないなどの状態であれば医師の診察を受けるようにしましょう。
受精卵は子宮内腔の粘膜に付着するのが一般的ですが、この受精卵がそれ以外の場所に付着して妊娠が成立したものを子宮外妊娠と言います。200~500回の妊娠に1回見られると言われています。
卵巣と子宮をつなぐ卵管で起こる卵管妊娠が全体の90%を占めていますがこのほか、腹膜、卵巣、子宮頚管で起こることもあります。
狭い場所であるこれらの場所で妊娠を継続することは難しいのが現状です。妊娠6週目には子宮外妊娠かどうかが分かり、妊娠8週目までにはほとんどが流産してしまうのですが、子宮外妊娠は身体にも負担が掛かります。
妊娠検査薬を使って陽性反応が出たら、早めに産婦人科で診て貰うようにしましょう。超音波エコー検査で子宮外妊娠かどうかが分かります。
健康保険が適用され、入院期間は1週間前後です。手術の方法、病状によって費用も入院期間も変わって行きます。
成人女性3~4人に1人はいると言われているのが子宮筋腫です。子宮筋腫はひどい人は手術が必要になる病気ですが、何事もなくそのままにしている人もいます。症状が出て検査をして発見される人がいる一方で、症状があまりない人もいるようです。
基本的に良性の腫瘍なので、命の危険があるということはありません。
女性ホルモンのエストロゲンが関係していると言われており、タイプが3つに分かれますが、腫瘍が大きくなって来ると月経困難症、不妊症、月経過多が起きることもあります。治療法は筋腫ができている場所、大きさ、症状によって変わります。悪性化の可能性、将来的に妊娠を希望しているかによっても治療法が変わって来るようです。
生理前の不快な症状のひとつとして吐き気が起きることがあります。PMSと呼ばれるこれらの症状は腹痛や頭痛、精神面の変化(イライラする、落ち込みやすくなる)などがよく言われますが、その中に「吐き気」もあります。
PMSで吐き気が起こるのは、頭痛や精神的な不調と同時に起こることが多く、生理前に限定しているので分かりやすいようですが、妊娠初期のつわりとも似ていることから注意が必要です。
同時に起こる症状がPMSに該当するものかどうかが見極めとも言えます。
更年期障害とは、早い人は30代後半から始まるとも言われています。多くは40代半ばから50代半ばにかけて、女性ホルモンの分泌が減ることによって起こる身体的、精神的な不調です。代表的な症状としてホットフラッシュが挙げられます。ホットフラッシュとは、顔ののぼせやほてりのことです。
中には症状が重く、日常生活に支障を来す人もおり、治療が必要だという人もいます。
吐き気を感じる人も多く、どうしても食が細くなったり、食事を楽しめなくなったりする人がいるようです。しかし、更年期障害の治療をすることで吐き気を緩和することができます。
近年、心の病や精神的な病気が注目されていますが、心と体には密接な関係があります。その中で、心因性の吐き気は気になる症状のひとつです。心因性の吐き気にも色々とあり複雑なようです。
現在、消化器内科を受診する人の中で一番多いと言われる病気がこの「過敏性腸症候群」です。吐き気や下痢や便秘などの消化器系の症状があり、その背景にはストレスがあることが多く、まさに現代病とも言えます。
以前は血液検査や腸の検査で病変がない場合にこの病名が付いていたことが多かったようですが、近年小腸を含めた機能異常があることが分かって来ました。
パニック障害とは、急に不安が訪れてパニックになったり、突然の動悸や吐き気、めまいだったり、あらゆる症状があります。芸能人がこの病気を告白することで割と認知度が高い病気となっています。
ノルアドレナリン、セロトニンなどの分泌が病気と密接な関わりがあるとされており、脳機能異常説が有力です。パニック障害が進行すると鬱を併発したり、日常生活が行えなくなったりすることもあるので、早期に治療することが望ましいとされています。
自律神経失調症とはよく聞く病名ですが、体中のあらゆる不定愁訴があります。吐き気や胃腸に関する不調は多く、患者も年齢や性別を問いません。特に原因がないのに、あらゆる不快な症状があるという場合にこの病名が付くことがあります。
生活リズムが崩れたり、過度なストレスが掛かったり、ストレスに弱い体質や性格の人はどうしてもこの病気になりやすいので注意しましょう。
拒食症、過食症にも吐き気はつきものです。これらの病気は心因性のものとされております。拒食症の場合はダイエットから始まり食べることに嫌悪感を抱いてしまうのです。過食症の患者も以前は拒食症だったということもあり、精神的なケアが必要です。
吐き気を感じるという症状だけでなく、無理に食べたものを吐き出すということもあります。
極端な場合、死につながることもあるのがこれらの病気の怖い点です。本人は気が付いていないこともあります。患者数は20年間で10倍も増加しており、精神的なケアを含めた治療が必要です。
病的でない吐き気にはどのようなものがあるのでしょうか。病気の可能性がないとはいえ、知っておいた方がいいでしょう。
自分の許容範囲以上のアルコールを摂取したときに二日酔いになりやすいのですが、疲労度が高いときなどは普段は二日酔いにならないアルコールの量でも二日酔いになることもあります。
吐き気や頭痛などの症状があります。自分の許容範囲を知ること、アルコールを勧められても断る勇気を持つことが大切です。
普段から乗り物酔いになるという人は酔い止めの薬を持っていることも多いのですが、体調次第で今日に限って乗り物酔いがする・・・という場合もあります。
吐き気もしくは、実際に嘔吐してしまうことが多いので、乗り物に乗るときはビニール袋を持参したりすることが大切です。特に船は多くの人が酔いやすいので注意しましょう。
臭いで吐き気がするということもあります。多くの人が不快に思う臭いばかりではなく、香水のようなにおいは好みがあり、吐き気がするということもあるようです。このような場合を「化学物質過敏症」と言います。強いにおいを嗅がないようにしましょう。
吐き気が続くと体力も落ちますし、気分的にも辛いものです。吐き気を止める方法について見て行きましょう。
体を温める効果があると言われている生姜ですが、実は吐き気を止めることができる食材としても知られています。すりおろした生姜をお湯で溶き、「生姜湯」を飲むだけで効果があります。
吐き気を感じやすいとう人は、チューブ式の生姜を準備しておくと、急なときでも対処しやすいでしょう。
美容効果や健康効果も高い「梅しょう番茶」ですが、吐き気にも効果があると言われている番茶です。梅しょう番茶として市販されており、ネット通販でも購入可能です。自宅でも材料さえあれば作ることができます。
吐き気止めのつぼを押すのも効果的です。「内関」「関衝」「労宮」「合谷」などのつぼが有名です。
【 合谷のつぼにお灸をすえた画像 】
内関や合谷のつぼは、頭痛にも効果のあるつぼなので、急な体調不良のときに助かるつぼです。覚えていて損はないでしょう。
ストレスなどの心因性の吐き気のときに効果的な方法が「深呼吸」をするという方法です。ストレスがあると呼吸が浅くなりがちなので、深呼吸をするようにしましょう。
体内に水分が不足している状態は吐き気を感じやすくなります。水分をしっかり摂取することで吐き気を緩和することは可能です。このときに、水をいっき飲みするのではなく、ゆっくり飲むことが大切です。
吐き気がひどいときには薬に頼るのもひとつの方法でしょう。食べ過ぎや飲み過ぎのときには効果があります。胃酸が出過ぎている状態を緩和したり、そのほかの胃の不快な症状を緩和したりしてくれます。
胃薬を飲んでいても吐き気が治まらないという場合は、一度医師の診察を受けた方が良さそうです。もしかすると、胃腸が原因の吐き気ではないということもあります。
小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)という漢方薬は、体力に関係なく使うことができる漢方薬です。妊娠時のつわりにも使うことができる漢方薬として知られています。現在、妊娠しているという場合は念のために医師に相談して漢方薬に頼るようにしましょう。
最近は、あらゆる場所で漢方薬を購入することができるようになりました。効き目が穏やかということもあり、人気があります。
乗り物酔いのときに効果的な方法です。基本的に吐き気がするというときには、「冷やす」ということが効果的な方法として知られています。
冷たいタオルで冷やすのもいいですし、冷えピタなどを使って冷やすのもいいでしょう。
体や頭が動くと余計に吐き気がする場合が多いので、安静にするというのも効果的です。
自律神経の不調から来る吐き気に効果のある音楽があります。
出典元:https://www.youtube.com/watch?v=Yyx19ElHb3U
ミントのアロマは吐き気を緩和する効果があります。アロマを使ってみるのもお勧めです。レモン系のアロマも効果があります。
吐き気がするのに食事?と疑問に思われるかもしれませんが、胃の中が空腹になることで吐き気がすることがあります。吐きづわりがその例です。胃に食べ物があると吐き気が治まるので、消化の良いものを少量食べるようにしましょう。
ストレス性の吐き気のときに効果的なのが「癒し」を得ることです。何が癒しになるのかは個人差があると思われますので、自分だけの落ち着ける何かを見つけることが大切です。
吐き気にはさまざまな理由があり、それが胃腸から来るもの、女性特有のもの、心因性のものなどあらゆる原因があることが分かりました。また、対処方法についても吐き気の原因によって効果があるものとそうでないものに分かれるようです。
単に対処方法を行うよりも、原因を明らかにして対処方法を行うことが、結果吐き気を止めることにつながるので、まずは原因を探って行きましょう。中には、医師の診察が必要な場合もあることをお忘れなく。
さらに、女性の場合は女性ホルモンの分泌が原因で吐き気を感じることも多々あるようです。現在はそのような症状がなくても、女性ホルモンの分泌と吐き気との関係を知っておくとよいでしょう。