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妊娠中を少しでも快適に!整体師が教える妊婦腰痛の原因と対策

2018年2月28日更新 | 2,820 views | お気に入り 198

妊娠中を少しでも快適に!整体師が教える妊婦腰痛の原因と対策

妊娠中は出産に向けて様々な身体の変化が起こります。特に初産の方は急激な身体の変化に戸惑うことも多いでしょう。体型の変化やホルモンバランスの変化は身体に様々な不調をきたすこともあります。
私の治療院は骨盤専門なので、骨盤のゆがみによるトラブルや症状を持った患者さんが多く来院されています。その中でも妊婦さんと産後の方の割合は非常に高いです。妊娠中や産後の不調を引き起こしている原因のほとんどは、骨盤が絡んでいます。症状別にみると一番多いのは腰痛です。
しかし妊娠中に施術をしてくれる治療院はごくわずかです。妊娠中の身体を触ることは妊婦さんの治療に慣れている人でないと怖いものです。当院ではマタニティー骨盤ケアも行っており、たくさんの妊婦さんのケアをしています。そこで今回は妊婦さん向けの腰痛対策を紹介します。治療院に通えなくてもセルフケアで不調を軽減することは可能です。妊娠中の腰痛で苦しんでいる方が少しでも快適に過ごせるように、原因と対策をしっかり紹介していきます。

目次

妊娠の過程別によって身体はどんどん変化します

妊娠中の身体の変化と腰への負担

妊娠中の体の変化で一番顕著に表れるのは体型の変化です。妊娠から出産までの約10か月間でおよそ10kg前後体重は増加します。体重の増加に伴いお腹は前方に突き出してきます。この姿勢を見るだけで腰に負担がかかると思うはずです。このような急激な体重の増加、体型や姿勢の変化が腰痛を引き起こす原因になっているのです。

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骨盤と背骨の変化

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画像2 妊娠過程別にみる骨盤と背骨の変化

1)妊娠初期 (4ヵ月ごろまで)

この時期は見た目には体型や姿勢の目立った変化はありません。しかしホルモンバランスなどの急激な変化によって、つわりなどの症状が出やすい時期です。症状がひどい人は動けなくて運動不足になりやすくなります。

骨盤の変化
初期では大きな変化はありませんが、まれに敏感な人は立位や歩行時に股関節や骨盤が不安定に感じる人もいます。このような人は運動を全くしていない人や筋肉が少ない人に見受けられます。
背骨の変化
初期では大きな変化はありません。

2)妊娠中期(5~7ヵ月ごろまで)

中期に入る頃には体重が徐々に増えお腹も出てきます。体型の変化が自覚できるのもこの時期からが多いようです。

骨盤の変化
お腹が大きくなりだして骨盤周りが変化してきます。この時期から腰痛が出てくることが多いです。お腹が出始めると前に引っ張られ前方に重心が移動するため、骨盤をやや後傾にして重心を後ろに戻すようにしてバランスを取ります。
背骨の変化
骨盤を後傾することで背骨は生理的弯曲を減少させてバランスを取ります。そのため若干顔が前に出て猫背気味の姿勢になります。

3)妊娠後期(8~9ヵ月ごろまで)

後期に入ると一気にお腹の膨らみが目立つようになります。体重はさらに増え、全体的にふっくらしてきます。体内からは女性ホルモンの一つ「リラキシン」が分泌されます。子宮弛緩、関節や靭帯をゆるめるホルモンで、このリラキシンの作用によって骨盤が柔軟になり出産に向けての準備がされるわけです。しかしこの作用によって骨盤が不安定になり、体を支える骨格筋の負担が増して腰痛、股関節痛、恥骨痛などが引き起こされることもあります。
リラキシンは生理中にも分泌されます。生理中に腰が痛くなる人は、妊娠中に腰痛が出やすい傾向にあります。

骨盤の変化
お腹がかなり出てきて重心も前方になります。このようになると骨盤を後傾させてバランスを取るのは難しくなり、逆に骨盤を前傾させてバランスを取ろうとします。そのため反り腰が強くなり、ひどい腰痛で動けなくなる人も出てきます。徐々に骨盤の下部が開いてきて恥骨痛などが発症することもあります。また、リラキシンの影響で骨盤周囲がゆるみだします。骨盤や下半身が不安定に感じるという症状も出てきます。
背骨の変化
骨盤の前傾と重心が前方になることで背中の筋肉で体を後ろに反らすようにバランスを取ろうとします。そのため腰椎は前弯、胸椎は後弯するため、背骨は生理的弯曲が大きくなります。背中から腰にかけての筋肉の緊張が強くなり、腰痛が悪化します。

4)臨月~出産

出産に向けて骨盤周りの靭帯や筋肉はかなりゆるんできます。

骨盤の変化
骨盤の前傾はさらに進みます。出産の準備のため骨盤は下部が開きやすくなります。出産時は赤ちゃんの産道が必要になるので仙骨がうなずくような動き(ニューテーション)をします。骨盤底筋も緩んできます。この時期の腰痛はもちろん、恥骨や尾てい骨などに痛みが出てくることもあります。
画像3,画像4,画像5参照)
背骨の変化
腰椎の前弯と胸椎の後弯がさらに大きくなり、反り腰もいっそう強くなります。背中から腰にかけての筋緊張は非常に強くなり、立っているのがつらくなることもあります。

出産の準備のため骨盤は下部が開きやすくなります。そのため恥骨が痛くなることもあります。

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出産時は赤ちゃんの産道が必要になるので仙骨がうなずくような動き(ニューテーション)をします。

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この時に骨盤底筋もゆるんでお産ができる状態になるのです。

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仙骨のニューテーションや骨盤庭筋のゆるみによって、仙骨や尾てい骨に痛みがでることもあります。

5)産後

産後2~3日で関節や靭帯を緩めるリラキシンの分泌は徐々に減少していきます。

骨盤の変化
産後の緩んだ骨盤は骨盤の下部が開いて上部が閉じた四角形のような状態になります。その後半年ぐらいかけてお尻の殿筋群、骨盤底筋、腹筋群の働きによって骨盤は徐々に後傾して下部が閉じ、上部が開いて逆三角形のような元の状態に戻ります。
画像6,画像7参照)
背骨の変化
骨盤前傾が徐々に後傾へと変化するとともに腰椎の前弯や胸椎の後弯が減少し、大きく湾曲した背骨の生理的弯曲も正常に戻ります。

出産でゆるんだ筋肉や靭帯は本来であれば徐々にその機能が回復し、しっかり働けば半年後には元の体型に戻り腰痛などの妊娠中の不調も軽減してきます。しかし現代人は、デスクワークが多く歩くことも少なくなっているため、骨盤周囲の筋肉が弱くなっていることが多く、自分の力で骨盤を締めていくことができなくなってきています。
すると骨盤は開いたままの四角形の状態で固まってしまいます。出産で伸ばされた骨盤底筋や腹筋群が働かなくなるせいで、内臓は下に落ちて下腹部がポッコリ出てきてしまいます。

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切迫早産になりやすい人の傾向として、妊娠中に骨盤がゆるみ過ぎてしまうことが考えられます。お産に向けて骨盤はゆるんでいかなければいけないのですが、骨盤周りの筋肉が弱い人、内股気味がクセになっていて骨盤の下部が開きやすい人は、早い時期から骨盤がゆるみ過ぎてしまい胎児を支えられない状態になってしまうのです。このような状態では骨盤内で成長する赤ちゃんにとっても心地いい環境とは言えません。

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妊娠で仙骨がゆるむのも腰痛の原因に!

仙骨は脊柱(背骨)を構成する骨で、脊椎の一番下にある逆三角形の骨です。
また仙骨は左右の寛骨 (かんこつ)(腸骨、坐骨、恥骨)と骨盤を構成しています。仙骨は左右の腸骨の間に打ち込まれたくさびのような形をしています。

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仙骨の役割

● 背骨の土台、上半身の土台として重力を支える役割をしています。
● 仙骨と腸骨で仙腸関節を形成し背骨や股関節の動きと連動して、様々な動作時に仙腸関節の機能が関わります。また出産時には仙腸関節がゆるんで骨盤が動きやすくなり出産をスムーズに行えるようになります。(画像9参照)
● 仙骨には自律神経の副交感神経が集まっています。仙骨を温めると副交感神経の働きが活発になるので、身体を休める、リラックスさせる、骨盤内臓器の働きを活発にするなど、妊婦さんには嬉しい効果が得られます。

妊婦の腰痛と仙骨の関係

● 妊娠中の腰痛には様々な原因がありますが、仙骨が関係する腰痛もあります。この仙骨は骨盤で大変重要な役割を持つ仙腸関節を形成するため、妊娠によりこの関節がゆるんでくると腰痛などの不調が現れることがあります。
● 出産の際に産道をつくるため仙骨が大きく動きます。このような大きな変化も腰痛や仙骨痛を引き起こす原因になります。仙骨から続く尾てい骨には骨盤底筋が付着しています。出産の際には、この骨盤底筋が伸ばされて、腰痛、尾てい骨痛を引き起こすこともあります。(画像4,画像5参照)
● 子宮は骨盤内にある8つの靭帯によって支えられています。その中で仙骨子宮靭帯という靭帯は子宮の後部から仙骨の前面につながっています。子宮が成長することで仙骨子宮靭帯が伸ばされて、筋膜のゆがみにより痛みが出現することがあります。これは妊娠後期に仙骨や腰に痛みが出るという特徴があります。

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妊娠中の仙骨の変化

出産時には胎児の産道を確保するため仙骨がうなずくような動き(ニューテーション)をします。骨盤は下部が開き上部が閉まるような動きになります。しかしこのような仙骨や骨盤の状態は、日頃から内股気味のクセがあったり、ぺたんこ座りをするクセがある人にも見受けられます。このようなクセがある人は早産や腰痛などのトラブルになりやすいので、しっかりクセを直しておくようにしましょう。(画像3参照)

妊娠中の腰痛対策は姿勢と習慣に気をつけよう!

体型と姿勢、ホルモンの変化

体型の変化
体重増加、腹囲が大きくなります。
妊婦さんの一番特徴的な変化はお腹の膨らみです。かなり個人差はありますが臨月時には腹囲は妊娠前よりも約20cm増加すると言われています。
また体重も増加します。これも母体の体格により個人差はありますが、7~8kg増が理想と言われています。
  • 胎児と羊水や胎盤を合わせておよそ4kg
  • その他、胎児を守るための脂肪と出産や授乳に必要な血液や水分がおよそ3~4kg

7~8kgの体重増は妊娠、出産、産後の育児に必要なものなのですが、それ以上は余分な脂肪などになりお腹や骨盤周りに特につきやすいのです。10kg以上の体重増加は妊娠中毒症を引き起こす危険性が高まるので注意が必要です。

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姿勢の変化
お腹が大きくなるにつれて、胎児や母体を支える骨盤や背骨も変化してきます。
骨盤は仙腸関節や恥骨が出産に備えてゆるみやすくなり、骨盤の下部が開きやすくなります。また大きなお腹で重心が前方になることにより、骨盤の前傾が強くなります。
背骨は骨盤の前傾により腰を反らせるようになり腰椎前弯、胸椎後弯が強くなり生理的弯曲が大きくなります。
このような姿勢の変化は腰痛、恥骨痛、股関節痛、背中の痛みや張りの原因になります。(画像2参照)
ホルモンの変化
妊娠から出産するまで様々なホルモンの分泌が活性化して、身体に変化をもたらします。

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hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)・・・妊娠を維持するために妊娠直後から3ヵ月目ぐらいまで急激に増加してその後は急激に減少します。つわりはこのホルモンの急激な変化によるものとも言われています。

エストロゲン・・・皮下脂肪組織に作用し女性らしい丸みを帯びた体型になり、胸が大きくなります。

プロゲステロン・・・胎児が成長しやすいように子宮内の状態を整えて胎盤を完成させ妊娠を維持する働きがあり、流産を防ぎ基礎体温を上げ、胃腸の活動を鈍くします。

ホルモンの分泌は多くても少なくても体に変化をもたらすことになります。妊娠中はホルモンバランスが乱れやすく、急激な変化に対応できないと心身ともに不安定になります。妊娠中の女性ホルモンの急激な変化は、他にも様々な体の変化をもたらします。

● 血糖値が上がる・・・女性ホルモンはインスリンを抑える働きがあり、これにより母体のグルコースが胎児に送られやすくなりますが、一方で母体の血糖値が上がってしまいます。
● シミ、色素沈着が増える…女性ホルモンによりシミや色素沈着の原因であるメラノサイトが活発になります。
● 便秘になる・・・腸の筋肉がゆるみ、蠕動(ぜんどう)運動が弱くなるためです。
● 血液量が増える・・・胎児への栄養を運ぶために、血液量は妊娠前の約1.5倍になります。
● 貧血になる・・・血液量が増えるため、血中の鉄分濃度が下がってしまいます。
● 下半身のむくみ・・・血液量が増加し、子宮が大きくなることによって下半身への血流が悪くなるために起こります。
● 尿漏れ、頻尿・・・子宮が大きくなり膀胱を圧迫するためです。
● 情緒不安定・・・急激なホルモンバランスの乱れによります。

妊娠後期の腰痛対策

妊娠中の腰痛は後期にかけて出てくることが多く、臨月に近づくほど腰痛の出てくる割合は高くなります。お腹が大きくなり目立つようになってきたら腰痛には注意が必要です。
もし腰痛が出てきた場合、骨盤にゴムベルトやサラシなどを巻くことをオススメします。妊娠後期になると出産の準備のために骨盤の仙腸関節や恥骨がゆるんできます。骨盤が不安定になると腰痛が出やすくなるので、骨盤を安定させて腰痛を軽減させましょう。

また、日頃の動作や姿勢などの習慣をもう一度見直してみましょう。

歩き方・・・ガニ股歩行に注意

腰を反らし重心を後ろにして足を開いてガニ股で歩いている妊婦さんは多いですよね。これでは股関節がうまく使えず内股の筋肉も弱り、歩幅も狭くなってしまいます。

良い歩き方

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目線を正面に上げて、背筋は伸ばしても腰は反り過ぎないように。歩幅を大きくすることで股関節をしっかり使った歩き方になります。
肘を曲げてしっかり腕を振ると足も自然と前に出やすくなります。
股関節と仙腸関節は連動して動いているので、股関節をしっかり使った歩き方をすることで仙腸関節のずれも予防できます。

妊婦さんだからとはいえ、安静にし過ぎるのも禁物です。安定期に入り、特に医師から安静の指示がなければ適度な運動を行いましょう。血行不良やむくみの改善、また体重管理やストレス解消にもなります。体調が良い時には30分ぐらいの軽いウォーキングでも充分な運動になります。

立ち姿勢・・・反り腰に注意して、膝を軽く曲げてお尻の筋肉を使いましょう

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お腹が大きくなるとどうしても腰を反らして立つクセが出てきてしまいます。壁に背中を向けて「後頭部→肩甲骨→お尻→かかと」をつけるようにして立ちます。この時に腰に握りこぶしが入るぐらいだと腰は反り過ぎています。反り過ぎている時は、尾てい骨を下へ向けるように意識すると過剰な反りが改善されます。理想は手のひらが1~2つ入るくらい。時々このように立ち姿勢をチェックして反り過ぎているようであればリセットしましょう。また日頃から内股気味で立っている人は反り腰になりやすい傾向があるので注意しましょう。
お腹が大きくなると重心が前に移動してバランスが取りにくくなります。このような時は足を肩幅ぐらいに開くだけでもバランスが取りやすくなります。そして膝を軽く曲げると骨盤が後傾し腰の反りが軽減します。
妊婦さんは腹筋を上手に使って立つことができなくなり、腰を反らすようにして背筋を過剰に使って立つことが多くなります。これは腰痛や背部痛の原因になるので、腹筋や背筋の代わりにお尻の筋肉を使って骨盤を締めるように意識して立ちましょう。つま先をやや開いて立つとお尻の筋肉を使いやすくなります。

椅子の座り姿勢…なるべく背もたれのある椅子に座りましょう

お腹の大きい妊婦さんにとって一番疲れるのは背中や腰の筋肉です。座っている時は少しでも背中や腰の筋肉を休めたいもの。なるべく背もたれのある椅子を選んで座るようにしてください。

深く腰掛け背もたれを使った良い座り方

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画像16 良い座り方(タオルを使って)
画像16 良い座り方(タオルを使って)

ポイントは座面深くに腰かけて、背中と腰を背もたれに預けるようにすること。背中や腰の筋肉の緊張を減らせる座り方です。

浅く座ったダメな座り方

画像17 悪い座り方
画像17 悪い座り方

避けたいのは、座面浅くに腰かけて背もたれに体を預けるような座り方をしたり、柔らかいソファーに腰が沈み込むような座り方です。このような座り方だと骨盤が後傾し過ぎてしまいデリケートな仙骨に大変負担がかかってしまいます。さらに腰が曲がり、上半身がお腹を圧迫して腹圧が高まり、お腹の赤ちゃんが苦しい状態になってしまいます。

床に座る時の姿勢・・・横座りやぺたんこ座りは絶対にNG

横座りは仙腸関節に負担がかかるため、すぐに骨盤がゆがんでしまいます。ぺたんこ座りは股関節を内側にねじるため、骨盤の下部が開いてしまいます。どちらも腰痛の原因になるので妊娠中以外でも絶対にNGです。
床に座る時は、正座かあぐらがオススメです。

座布団やタオルを使った正座

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正座は自然と骨盤が正常な位置になりやすい姿勢です。ただし体重が足に直接かかるため、長時間の正座によって足が血行不良を起こすこともあります。無理はしないようにしましょう。両足の間にバスタオルや座布団などを丸めて座ると、血行不良や足のしびれなどを予防できます。

座布団やタオルを使ったあぐら

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あぐらはお腹に負担がかかりにくい座り方です。股関節を開くため骨盤や股関節が柔らかくなり出産しやすくなる効果もあります。あぐらのポイントは、座布団やバスタオルなど重ねたものをお尻に敷いて、お尻の位置を少しだけ高くすることです。すると背筋が伸びやすくなり背中の丸まりを予防できます。さらに、壁を背もたれ代わりにして座ると腰や背中の筋肉が緊張しないで楽に座れます。

寝る時の姿勢・・・横向きで抱き枕やクッションを使って

妊婦さんにオススメの寝る時の姿勢は「シムス位」です。シムス位は大きくなった子宮によって下大静脈が圧迫されて、血流やリンパの流れが悪くなるのを防ぐ姿勢です。妊婦さんとお腹の赤ちゃんにとって、楽でやさしい寝方になります。

シムス位とは?

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基本はどちらか楽な方を向いて横向きか、ややうつぶせ寝の横向きになります。できれば左側を下にしてください。必ず足の間と腕に枕、クッション、抱き枕などを抱くようにします。股関節や腰のねじれがなくなり骨盤に負担がかからないようになります。
特に臨月近くになったら仰向け寝は下大静脈が圧迫されて血流やリンパの流れが悪くなります。するとお腹の赤ちゃんに酸素や栄養が運ばれにくくなります。血流やリンパの流れを考慮すると左側を下にした方が良いのですが、しっくりこない、寝づらいなどがあれば右側を下にしても構いません。

しかし、シムス位がすべての妊婦さんにとって最善な寝方ではありません。実際に当院に通う妊婦さんの中にはシムス位がつらいという人もいらっしゃいます。シムス位がつらい人は骨盤前傾、腰椎前弯が強くなり過ぎていたり、骨盤がゆるみにくくなっていたりします。つらいのに無理にシムス位で寝る必要はありません。大切なのは妊婦さんが心地いいと感じること。そうすれば、お腹の赤ちゃんもリラックスして過ごせます。

アイテムをうまく使って腰痛を緩和させましょう

アイテムをうまく使って腰痛を緩和させましょう

アイテム別のポイントとアドバイス

妊娠中はクッションが大活躍します。大小様々な大きさがありますが、用途別に使い分けましょう。

小さめのクッション・・・座る時に使って骨盤を正しい位置に

床に座る時はあぐらや正座が一番腰に良い座り方です。小さめのクッションを使うことで楽に座ることができます。あぐらをして座る時はお尻に敷いてお尻の位置を高くすると背筋が伸びて骨盤も正しい位置になりやすいです。正座をして座る時は両足の間に挟んで座ることで足に体重がかかるのを軽減してくれます。(画像18画像19参照)
椅子に座る時は、背もたれと腰から骨盤の間にクッションやタオルを入れて体を背もたれに預けます。背もたれに体を預けたときに過剰に骨盤が後傾するのを防ぐことで、腰が痛くなったり疲れにくくなります。(画像16参照)

大きめのクッション・・・寝る時に使って骨盤のゆがみを軽減

横向きで寝る時は、抱き枕か大きめのクッションを抱いて寝るようにしてみてください。腕に抱いて寝れば肩や背中の負担を軽くします。足に挟んで寝れば腰痛や足のだるさやむくみを緩和してくれます。(画像20参照)
大きめのクッションは座っている時の腕や肘おきに使うのもオススメです。座りながら本を読んだりスマホを見たりすると、どうしても目線が下になり上半身が丸くなりがちです。背中や首肩のコリや腰痛の原因にもなる姿勢です。太ももの上に大きめのクッションを置きその上に腕や肘を置くと腕の位置がだいぶ上になります。目線が下にならないので背中が丸くなりにくく、良い姿勢をキープできます。

画像21 大きめのクッションは肘おきに利用して
画像21 大きめのクッションは肘おきに利用して

ベッドor布団・・・起き上がる動作はベッドの方が楽

腰痛がある時は起き上がるのが大変つらい動作になります。お腹が大きい妊婦さんの場合、腰痛がなくても床から起き上がる動作はひと苦労です。ベッドの場合、足をベッドから降ろせば椅子に腰かけている姿勢になるので、起き上がり動作はわりとスムーズにできます。妊娠中でさらに腰痛がある場合はベッドの方が良いでしょう。ただし、ベッドのスプリングが柔らか過ぎて腰が沈み込んでしまう場合は、かえって腰痛が悪化してしまうこともあるので注意してください。

腹帯、コルセット、ガードル・・・おへそよりも下に巻くのが基本

妊娠中の腰痛対策や予防で巻くのであれば、少し細めのものを選んでください。巻く位置は骨盤の下半分。必ずおへそよりも下に巻くようにしましょう。大転子(足の付け根の出っ張り部分)と恥骨の位置に巻くのがベストです。

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コルセットやガードルなどは幅広で骨盤からお腹や腰まで包み込むタイプが多く、妊娠中に巻くのはあまりオススメではありません。骨盤の上部を締め付けてしまうと骨盤下部が開きやすくなってしまうからです。骨盤下部は出産時には開くことでお産がスムーズになりますが、それまではなるべく閉めておかないと骨盤内で赤ちゃんが安定して成長できません。
妊婦さんのお腹や腰の冷え対策にはガードルよりも腹巻の方が良いと思います。

お灸・・・効果は絶大ですが、セルフケアには注意が必要

妊娠中は特に身体を冷やすことは禁物です。腰痛などの原因にもなります。お灸は身体を温める効果はもちろんのこと、腰痛に効くツボもたくさんあり、逆子の灸と呼ばれるツボなどを使って逆子を治す治療法まであります。しかし効果が絶大な分、セルフケアは注意が必要です。必ず医師に相談し鍼灸師の指導のもとで行ってください。

産前、妊娠中、産後まで女性特有の疾患の特効穴「三陰交」

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画像23 三陰交の場所:内くるぶしから指幅4本分上にとります。

効果
妊娠前・・・生理痛、月経前症候群、冷え性、むくみ、更年期障害、アレルギー体質改善、便秘、消化器疾患、妊娠前の身体づくり
妊娠中・・・つわり、妊娠中毒症、腰痛、背中の痛み、手足の冷え・つり・むくみ、お腹の張り、痔、逆子、安産(子宮の血流を良くする)
産後・・・肥立ちをよくする、母乳の出を良くする

このように「三陰交」は女性特有の不調には欠かせないツボです。お灸はちょっと抵抗があるという人は、足首回りを冷やさないようにレッグウォーマーやカイロで温めるだけでも効果的です。

ストレッチとマッサージで腰痛対策を!

基本は、骨盤を整えて動きを良くする腰回し運動(1日3回、左右30回ずつ)です。
腰回し運動は骨盤を前後左右にまんべんなく動かす運動で、骨盤を柔軟にし正常な位置に戻す大切な運動です。骨盤は妊娠中に一番ケアをしておかなくてはいけない箇所。さまざまな症状に効果がありますが、特に腰痛に効果があります。

(1)腰痛・・・腰回し運動(1日3回)

①肩幅くらいに足を広げ手は腰に。

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②骨盤を時計回しに30回。

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③反時計回しに30回。

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(2)背中の張り感、痛み・・・背中のストレッチ(20秒キープ 左右2回ずつ)

①床にあぐらで座ります。
②左手を上げてそのまま右側に側屈します。左足が床から上がらないように注意してください。

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(3)股関節痛・・・下半身強化と股関節を柔軟にする四股ふみ(10回)

①両足を肩幅よりも広めに開いて、つま先は外側に向けます。

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②椅子の背もたれ、テーブル、壁などに手を置いて、膝をつま先が向いている方向に曲げてお尻をゆっくり下げ、元に戻します。

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(4)恥骨痛・・・殿筋(お尻の筋肉)の運動(10回)

①足を肩幅ぐらいに広げ、つま先を真っ直ぐ前に向けます。

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②つま先を支点にして左右のかかとを近づける。かかとがついたら元に戻す。

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(5)足のむくみ、こむらがえり・・・ふくらはぎのストレッチ(20回)

①イスに座って膝をのばした状態で足首の曲げ伸ばしをします。

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②繰り返します。

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妊娠中は腰痛がなくても、腰回し運動だけは必ず行ってください。腰痛以外の症状がある人は、腰回し運動にプラスして症状別のエクササイズを行いましょう。
痛みの感じ方には個人差があります。特に妊娠中のストレッチやマッサージは体調をみて調子がいい時に試してみてください。やっている最中にお腹の張りを感じたら、すぐに中止して休息をとりましょう。

骨盤のゆがみがさらに腰痛を悪化させます

妊婦の腰痛の原因は骨盤のゆがみから

骨盤は腰や上半身の土台です。家の基礎がゆがむと家が倒れてしまうように、骨盤がゆがむことでその上にある腰や上半身もゆがみます。そこに負担が掛かることで腰痛が出てくるのです。特に妊娠中の体重増、女性ホルモンの変化、体型変化など、すべてが骨盤に影響を及ぼす原因になります。土台の骨盤を支える筋肉がしっかり働き、このような変化にも柔軟に対応できる骨盤であれば腰痛は出にくくなります。

体重増加と骨盤

妊娠中は体重が10kg近く増えます。胎児を守るため特にお腹、腰、お尻などの骨盤周囲に脂肪がつきやすくなります。体重が増えればそれだけ体を支える骨盤周囲の筋肉などにも負担がかかるので、腰痛の原因になります。

女性ホルモンと骨盤

女性ホルモンの分泌が活発化して骨盤を支えている靭帯がゆるみ、仙腸関節や恥骨がゆるみやすくなります。靭帯や関節が緩み骨盤が不安定になることで体を支える骨盤周囲の骨格筋に負担がかかるので、腰痛の原因になります。

体型変化と骨盤

お腹が大きくなることで腰が反り骨盤の前傾が強くなります。背中から腰の筋緊張が強くなるので、腰痛の原因になります。

妊娠中にできる骨盤ケア

妊娠後期になるとお産をスムーズに行うために骨盤周囲がゆるみだします。通常は骨盤をゆるめるような運動やストレッチをする方が安産になりやすいものです。ですから骨盤周囲の仙腸関節や股関節をゆるめるように心がけることが必要になります。
「ストレッチとマッサージで腰痛対策を!」で紹介した(1)腰回し運動(3)下半身強化と股関節を柔軟にする四股ふみのストレッチがオススメです。
しかし運動不足の人や腰痛がある人は、妊娠後期に骨盤がゆるみ過ぎてしまう傾向があります。すると腰痛が悪化したり股関節や恥骨に痛みが出たり、骨盤がグラグラしたりするなどのトラブルが出てくることがあります。このような場合は、骨盤を安定させるためにゴムベルトやサラシなどを骨盤の下部に巻くようにすると症状が軽減できます。

妊娠前にしておいた方が良い骨盤ケア

妊娠前の骨盤ケアは骨盤をニュートラルに保つことです。ニュートラルとは骨盤が体の中心にあり前後左右に動きやすくどのような姿勢や状態にも対応しやすい骨盤です。生理痛がひどい人や月経前症候群などがある方は、骨盤の状態が閉じていたりゆがんでいたりしている場合があります。また骨盤は排卵時には閉じて、生理中はゆるむというように女性ホルモンの影響を受けて開閉します。骨盤がニュートラルな状態で体の生理的作用に順応していれば生理痛や月経前症候群 (PMS)などは起きにくいのです。

股関節と仙腸関節を柔軟にするストレッチ(10回)

①うつぶせに寝ます。
②左足の膝と股関節を曲げ外側に開き、下の写真の位置まで曲げたら足を真っ直ぐ元に戻します。

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③これを10回繰り返し最後の10回目に曲げた状態で60秒キープ。
④反対側も同様に行います。

産後の骨盤、腰痛ケア

産後の骨盤はお産や女性ホルモンの影響もあり開いてしまっています。特に骨盤の下部をしっかり閉めることが大切です。またお産による骨盤底筋のゆるみも骨盤を開きやすくしてしまい、尿漏れなどのトラブルの原因にもなります。妊娠中にお腹が大きくなることで腹筋の働きも低下しています。これでは腹圧を高めることができないので内臓が下垂して下腹がポッコリ出てきてしまいます。(画像5,画像6,画像7,参照)
妊娠中は大丈夫でも産後やお産がきっかけで腰痛が出てくる人もいます。お産による骨盤や骨盤底筋への負担、腹筋の機能低下は腰痛の原因になるのです。産後は抱っこや授乳や沐浴など中腰の動作が多かったり、育児に追われて自分の身体のケアをする時間がなかったり、産後の急激なホルモン変化による産後うつなどの体調の変化により、腰痛が出やすい環境になります。骨盤や腰痛のケアをしっかりする必要があります。

産後の骨盤、腰痛ケアにはまず妊娠やお産によってゆるんでしまった骨盤底筋、腹筋、大殿筋など骨盤周囲の筋肉をしっかり使って働きを元に戻してあげることです。しかし一度ゆるんでしまったものは、もう一度スイッチを入れようとしてもなかなかうまく入りません。骨盤に巻くゴムベルトやさらしなどを利用して骨盤を閉めてあげるとより効果的です。(画像22参照)
そして産後の育児で疲れやすい背筋や腰周辺の筋肉のストレッチもこまめに行いましょう。
このような産後の骨盤ケアは産後1ヵ月ごろから始めれば十分です。お産は想像以上に母体の体力を奪います。産後1ヵ月ぐらいはできるだけリラックスして心も体も休めるようにしてください。

お尻の殿筋、腹筋、骨盤底筋を鍛えるエクササイズ

(1)お尻の殿筋を鍛えるエクササイズ

「ストレッチとマッサージで腰痛対策を!」で紹介した
(4)殿筋(お尻の筋肉)の運動(10回)

(2)腹式呼吸で腹横筋を鍛えるエクササイズ(繰り返し3分間)

①鼻から息を吸いお腹に空気を入れるようにふくらませます。
②次に口からゆっくりと息を吐きながらお腹を凹ませます。

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最初は仰向けに寝てお腹に手を当てて行うとお腹の動きが良く分かります。慣れてきたら立っている時や座っている時にも行ってみましょう。1日に何度行ってもOKです。

(3)肛門をキュッとしめて、骨盤底筋を鍛えるエクササイズ(10回)

なるべくお尻の大きな筋肉は使わないで、肛門だけ締めるのがポイントです。

妊娠後期はぎっくり腰にも注意しましょう

妊娠後期はぎっくり腰にも注意しましょう

なぜぎっくり腰が起きやすい?

ぎっくり腰とは俗称で、病名は急性腰痛症といいます。突然腰に現れる痛みで腰の筋、筋膜の損傷や炎症、腰椎の関節捻挫などの症状が出ます。
妊娠後期はぎっくり腰にも注意が必要な時期です。ぎっくり腰というと何か重いものを持った時になりやすいと思っている人も多いかもしれませんね。実はそんなことはありません。なにかを拾おうとした時、靴下を履こうとした時、顔を洗おうとした時など、日常生活での何気ない動作の時になることがほとんどです。共通していることは前かがみ。つまり前屈のような姿勢をした時になってしまうのです。
前屈時にぎっくり腰になってしまうのは、腰の筋肉の過緊張が原因です。妊娠後期はお腹も大きく前に出てきて骨盤は前傾が強くなり腰がかなり反った状態になります。出産するまで腰が強く反った状態が続くわけですが、体を反らす時に使う筋肉は背中から腰にある背筋群です。
妊娠後期はお腹が大きくなり前方に重心が移動するのをこの背筋群の頑張りによってバランスを取り合っているのです。そのため常に背筋群が緊張してしまっています。
洗顔などの前かがみになる動作の時に背筋群は伸びようとします。しかしガチガチになった背筋群の筋肉はうまく伸びてくれません。そして筋肉を伸ばそうとした時は、反射的にその筋肉が伸びすぎて傷つかないように縮もうとします。つまりガチガチになってうまく伸びていない筋肉をさらに縮めようとしてしまうわけです。このような時に腰の筋肉や関節に負荷がかかりすぎてぎっくり腰になってしまうのです。

ぎっくり腰にならないために気をつけるポイントと対策

洗顔や家事など前かがみで行う作業は、日常生活の中でたくさんあります。
ぎっくり腰にならないための前かがみのポイントは、
①足を肩幅よりやや開きく。
②腰から曲げるのではなく股関節から曲げる。
③軽く膝を曲げる。
この3点に気をつけてみてください。

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ぎっくり腰にならないためのエクササイズ

お相撲さんが四股(しこ)を踏んだり開脚をしたりしているのを見たことがありますよね。これは足腰の強化と股関節を柔軟に保つために行っているのです。大きな体を支えるには腰だけでなく下半身全体で支えることが大切です。特に股関節は、骨盤と足をつなぎ骨盤の仙腸関節と連動して動くとても重要な関節です。この股関節を柔らかくすることは骨盤の柔軟性につながり、大きな体を支えても腰に負担が掛かりにくくなります。
また背中から腰にかけての筋緊張が強いと不意に前屈した時にぎっくり腰になりやすいので、背中~腰にかけてのストレッチも行いましょう。

(1)椅子を使った四股ふみエクササイズ

「ストレッチとマッサージで腰痛対策を!」で紹介した
(3)下半身強化と股関節を柔軟にする四股ふみ(10回)

(2)うつ伏せ寝で腰をゆらゆら揺らすストレッチ(3分)

妊娠中は胸と恥骨辺りにそれぞれクッションを置き、うつ伏せでもお腹が圧迫されないようにしましょう。体の力を抜いてリラックスした状態でお尻を左右に揺らします。

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ぎっくり腰になってしまったら・・・

通常は冷やして安静にするが一番良いのですが、妊娠中に腰を冷やすのはあまりオススメしません。妊娠中であれば腰に巻くコルセットもお腹を圧迫するのでやめた方が良いでしょう。おへそよりも下の骨盤下部にゴムバンドやサラシを巻くだけで、動く時の痛みはかなり楽になります。あとはなるべく安静にすれば2~3日で痛みは軽減してきます。しかし完全に良くなっているわけではない場合もあるので、再発防止のためにも骨盤を締めておくようにしましょう。

ヘルニア持ちの妊婦さんに注意してほしいこと

ヘルニア持ちだからと言って妊娠や出産の時に必ず悪化するとは限りません。ヘルニアがあっても出産を経験している人はたくさんいらっしゃいます。しかし、ヘルニア持ちではない人に比べたら腰痛やヘルニアが悪化する確率はとても高くなるので、そうなる前に準備をしておく必要があります。
理想を言えばヘルニア持ちの人は、妊娠がわかってから準備をするのではなく妊娠を意識した時から足腰の筋力強化のための運動やストレッチなどをしておきましょう。妊娠中ではできることが限られてしまいます。
ヘルニア持ちの人は、骨盤後傾→腰椎前弯の減少→真っ直ぐになった腰椎の椎間板にかかる圧が高まりヘルニアになる、といったケースが多く見受けられます。
しかし、妊娠中の骨盤はお腹が大きくなるにつれて、骨盤前傾→腰椎前弯が大きくなるので、ヘルニア持ちの骨盤や腰椎とは逆の変化をします。つまり妊娠中の骨盤の前傾や腰椎の前弯はヘルニア持ちの人にとって必ずしも悪いことではないのです。
もちろん妊娠中は骨盤がゆるんでくるので、足を組む、片側に重心をかける、などのクセがある人は骨盤がねじれてきますし、骨盤にある仙腸関節が緩んでくれば骨盤が不安定になるのでヘルニアが悪化することもあります。
私の考えでは妊娠中にもっともヘルニアに影響を与えるとしたら、それは骨盤のゆがみよりも体重の増加による骨格筋や椎間板への負担が増すことでしょう。平均して10kg近くも体重が増えるわけですから、これを支える骨格筋や椎間板にも相当な負荷がかかりヘルニアが悪化してしまうのではないかと考えています。ヘルニア持ちの人は体重管理に人一倍気をつけるようにしましょう。

妊娠がわかったら予防の準備を

まずはヘルニアによる痛みが悪化しないようにしないといけません。痛みが強くなってからでは遅いのです。なるべく早めに自分に合った骨盤ベルトやサラシなどを用意しておき、お腹が出始めてくる妊娠中期から使い、骨盤を安定させて筋肉の負担を減らし、腰痛の予防をしておきましょう。
また④の妊娠中の腰痛対策で紹介したクッションやベッドなど、腰に負担をかけないような生活環境を整えることも、早めに行いましょう。

妊娠中に気をつけるポイント

(1)体重管理が一番大事

妊娠中は体重管理をしっかりしましょう。10kg以上の体重増は禁物です。体重は出産時に7~8kg増が理想とされています。それ以上は余分な脂肪となり、腰にも負担がかかることになります。ヘルニア持ちで腰に不安がある人は、まずは体重管理に気をつけることです。

(2)クセを直すよう心掛ける

足を組む、片側に重心をかけての座位や立位、片側にバッグをかけるなど、このようなクセは無意識のうちに行っていることがほとんどではないでしょうか。クセによって骨盤のゆがみ、特にねじれがひどくなり骨盤の仙腸関節に負担がかかって痛みがでることもあります。特にヘルニア持ちの人の場合、腰や足に痛みがあるとかばって片側に重心をかけていることが多くなりがちです。なるべく普段の姿勢や動作で左右偏りをなくすように心がけて生活してください。

(3)適度な運動

ヘルニア持ちであっても痛みがない状態であれば過度の安静は筋力が落ちてしまい、かえってヘルニアを悪化させてしまうこともあります。適度な運動で筋力を落とさないように気をつけましょう。

しっかりとした腰痛対策で、快適に過ごしましょう

しっかりとした腰痛対策で、快適に過ごしましょう

妊娠すると出産までのわずか10か月ほどで、体重が10kgほど増え、女性ホルモンの分泌が活性化され、お腹が大きく前にせり出すような体型の変化があります。このよう急激な身体の変化は妊娠中以外ではほとんどありません。これは出産に向けての大切な準備でもありますが、急激な変化により体のトラブルも同時に出てきてしまう恐れがあります。特に胎児を育てる受け皿になっている骨盤周囲は変化が激しく、骨盤の影響を受けやすい腰は不調が出やすい場所なのです。
しかし妊婦の方が全員腰痛になるわけでもありません。土台の骨盤を支える筋肉がしっかり働き、このような変化にも柔軟に対応できる骨盤であれば腰痛は出にくくなります。
妊娠から出産までの間には生活にいろいろな制限があったり、身体の不調が出てきたり、ストレスを感じたりすることが数多くあります。適度に体を動かすことは身体のケアやストレス解消に最適です。腰痛の感じ方や程度には個人差がありますが、体調が良いときを見計らって運動やストレッチを試してみてください。とはいえ、無理は禁物です。行っているときにお腹の張りが強くなるなど体調の変化を感じたら、すぐに休みましょう。
妊娠中にストレッチや運動で体を動かしたり、マッサージを受けたりする時は、必ず健診時などに医師に相談し許可を得てから行ってください。
妊娠中は胎児の成長や自分の身体の変化など様々な不安があるものです。そんな不安な日々を過ごしているときに、さらに腰痛などに見舞われてしまうと本当に心身ともに疲れてしまいます。妊娠中の腰痛は避けられないと諦めている方も多いですが、しっかり対処していけば快適に過ごせます。母体が楽で快適に感じる生活を送ることができれば、お腹の赤ちゃんもリラックスして過ごせます。ぜひこの記事を参考にして健康で元気な赤ちゃんを産んでいただけたらと思います。

著者情報

骨盤整体 高田馬場施術室 代表、鍼灸師、プロイデア専門家

本記事は、2018年2月28日公開時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。